アルハイゼンと一緒に仕事をするフィッシュル 前編

場所はスメールの首都、スメールシティ。
草神クラクサナリデビ(ナヒーダ)の加護に守られた国。
モンドに拠点を構える占星術師アストローギスト・モナ・メギストスと(自称)断罪の皇女フィッシュル・ヴォン・ルフシュロス・ナフィードット、その従者オズヴァルド・ラフナヴィネスと言う名前のカラスと共に冒険者協会の依頼で、スメールを訪れていた。

モナ

モナ「フィッシュル、ここがスメールシティです」

フィッシュル

フィッシュル「これがスメールシティ……
我が故郷から遠方の地域へと足を向けたうも、斯様な森と自然とに囲まれたこの国は……ええと……」

モナ

モナ「あー、もう、そういうの良いですから。貴女分かってます?今回の任務……」

フィッシュル

フィッシュル「勿論よ、メギストス卿。わたくしと貴女で、森の国に仕える書記官が困っている遺跡の謎を解き明かすのでしょう?」

モナ

モナ「そうですよ」

フィッシュル

フィッシュル「しかし懸念を感じるわ。何故、遥か彼方にいる従者たちは、わたくし断罪の皇女だけでなく、メギストス卿を必ず同伴させるよう懇願してきたのか……」

モナ

モナ「……そりゃあ、貴女一人で他国に斡旋したら、依頼人とマトモに喋れないからでしょうよ」

オズ

オズ「メギストス卿の仰る通りですな。
お嬢様だけで他国の依頼人に会わせるなど、冒険者協会が許さぬでしょう。
そう言えばモンドで西風教会のシスター・ビクトリアの依頼を受けた時も、シスターと意思疎通が出来ず……」

フィッシュル

フィッシュル「オズ!」

モナ

モナ「……依頼人に会う前から不安になってきました」

スメールシティの街並みを歩くモナとフィッシュル、そしてフィッシュルの傍を飛んでいるオズ。
香辛料をふんだんに使ったスメール特有の料理の匂いが鼻をつく。

フィッシュル

フィッシュル「きっと、あの異界の食べ物を取り扱っているものは、この断罪の皇女が口にするにふさわしい味わいなのでしょうね」

オズ

オズ「お嬢様は、あそこの屋台の料理の匂いが気になっているようです」

モナ

モナ「なら、依頼人に会う前に昼食にしますか」

二人(と一匹)は、屋台で注文し、出された料理を持って前に用意されているテーブルセットに腰を下ろす。
二人が頼んだものは、カレーシュリムプだった。

フィッシュル

フィッシュル「鼻腔を突くこの香り、我が故郷では食することが出来ぬ料理ね!森に住まう少女からの献上品……あれ何だっけ?」

オズ

オズ「ピタですな」

フィッシュル

フィッシュル「ピタも美味だったけど、これもきっと美味と見たわ!」

モナ

モナ「良いから食べましょう」

フィッシュル

フィッシュル「……!! 辛ッ!!」

モナ

モナ「そりゃカレーですからね」

フィッシュル

フィッシュル「メ、メギストス卿はこの食べ物を食したことがあると言うの……」

モナ

モナ「私はモンドに来る前は流浪の身でしたから。
どうします?辛くて食べられないならフィッシュルの分も私が食べて、別のものを頼みます?」

オズ

オズ「お嬢様、ご自分で頼んだものを残すのは行儀が悪うございます」

フィッシュル

フィッシュル「オズ、皇后陛下……我が母上みたいなことを……」

モナ

モナ「ガンダルヴァー村からここまで結構距離ありましたし、おなかすいてるから私は二人分でも食べられますよ」

オズ

オズ「メギストス卿は食べても太らないのは素晴らしい。
是非お嬢様にもその真髄を伝授していただきたい。
お嬢様はモンドを出発する前日も、しばらく食べられなくなるからと好物の『常夜の夏のハニートースト』を深夜に作り、食べておりましたため……」

フィッシュル

フィッシュル「オズ、お黙り!」

モナ

モナ「……私は占星術でエネルギーを使うからカロリー消費が激しいんです!」

昼食を済ませた一行は、冒険者協会の前に到着した。
ここを上がれば依頼人である教令院書記官の家である。

モナ

モナ「こちらで活動する前に、冒険者協会で手続きをしておかないといけませんね。フィッシュル、行きますよ」

フィッシュル

フィッシュル「メギストス卿、私は先に書記官殿の邸宅へと向かうことにするわ」

モナ

モナ「えっ?」

フィッシュル

フィッシュル「幽夜浄土を統べるこの断罪の皇女たる者、過去の呪いに束縛されていてはならない。
ここはわたくしに任せて、メギストス卿はゆっくりとわたくしの従者たちと共に手続きを進めてご覧なさい」

オズ

オズ「お嬢様は、モンドで依頼人と意思疎通出来ずに冒険者協会にクレームが入り、キャサリン嬢に手を煩わせたことを気に病んでおります。
その汚名返上をしたいのです」

モナ

モナ「……いいですけど、オズ。くれぐれも彼女に余計な事をベラベラ喋らせないようにしてくださいよ。
ちゃんと依頼人と意思疎通してくださいね、あなたが」

オズ

オズ「お任せあれ」

フィッシュル

フィッシュル「メギストス卿!?」

モナ

モナ「手続きが終わったら私もすぐに行きますからね」