原神×クロスアンジュ 第10話『甘雨、正気を取り戻す』
璃月港、群玉閣。
甘雨「刻晴さん……ちょっとお話、いいですか?」
刻晴「ひっ!甘雨!」
甘雨「刻晴さん、私……正気に戻った、と言っていいのか分かりませんが……クロスアンジュの世界と交流を持ってから、『クレイジーサイコレズ』な状態になってたと思います。でも、一時的に落ち着くこともあるみたいで……今は落ち着いてます」
刻晴「えっと……それって、つまり……今は優しい甘雨に戻ってるけど、いつまたクレイジーサイコレズ甘雨になるか分からないってこと?」
甘雨「はい……」
刻晴「やっと璃月港に帰ってきた、甘雨もおとなしくなった、これで全部元通りだと思って安心してたのにぃぃぃぃぃぃぃ!!……望みは薄そうだけど、白朮先生の診断は?」
甘雨「もう受けました。私の性格が変わる病気なんて二重人格や鬱病などが疑われるが、仙人である私にそれはないと思いますし。そうなると、もう一般的な療法にはなるが、徹夜など以ての外、しっかり休みを取る事、疲れかもしれない……と」
刻晴「仕事は中断!凝光に相談に行くわよ!」
凝光の執務室にて……
刻晴「かくかくしかじかと言うわけで、甘雨をどうするべきか、相談に来たのよ……今、仕事どのくらいあったっけ?仕事の量次第では、甘雨を長期療養させる必要もあるかもしれないわ」
甘雨「ご迷惑を掛けてしまい、申し訳ありません……」
刻晴「そんなこと、気に病む必要はないのよ。元の優しいあなたに戻ってくれるなら」
甘雨「刻晴さん……」
凝光「……甘雨、あなたが抜けたら、やはり七星の業務は支障が出るわ。それに、クレイジーサイコレズ化しても、ようは刻晴を愛でられるなら、業務に影響はないってことよね?」
甘雨「はい……」
凝光「と言うことは、甘雨はクレイジーサイコレズになっても、刻晴を愛でていれば問題ないのよね?なら問題なし、よかったじゃない、相思相愛で」
刻晴「私が好きだった甘雨はクレイジーサイコレズじゃなくって、もっと優しい甘雨だったのよ!私の甘雨を返してぇぇぇぇ!!」
甘雨「刻晴さん、それじゃさっそく今日も刻晴エキスことビタミンKを補充させてください♪金制蹴り→おっぱい天国耐久コース100連続です」
刻晴「またクレイジーサイコレズな甘雨になってるし!もうイヤだああああああああああああ!!」
凝光「刻晴、もしあなたが壊れたら労災で補償はしてあげるわ。だから頑張って」
甘雨、刻晴を引きずっていく。
刻晴「裏切り者ぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」
凝光「アル・ワースに行く直前に群玉閣で元素爆発された後始末、誰がやったと思ってるのよ。少しくらい反省してほしいわ」
場面が変わって、茶屋にて。
甘雨が鍾離に相談している。
鍾離「さ、ここの茶屋の茶は実にうまい。お一つどうだ?」
甘雨「帝君、どうすべきでしょうか……どうやったら刻晴さんを傷つけるクレイジーサイコレズな私を排せるでしょうか。そもそも、そんな方法があるのかどうか」
鍾離「ふむ……異世界との干渉により、起きた症状か……白朮先生の診断でも、原因不明だと」
甘雨「帝君、助けてください!このままじゃ私、刻晴さんに取り返しのつかないことをしてしまいそうで……!」
鍾離「今の俺は凡人だ……と言う答えでは満足しないだろうな。甘雨よ、俺は確かに璃月の神であったが、あくまでこの世界の理に縛られる存在だ。話を聞く限り、その『クロスアンジュ』の世界の干渉を受けたのが原因だろうとは思われるが、甘雨がどうすれば前の性格に戻せるか……と言うより、クレイジーサイコレズな人格を切り離せるかと言うのは、俺にも皆目見当もつかない」
甘雨「そんな……」
鍾離「スメールの草神ブエルを知っているか?今はナヒーダと名乗っているらしい」
甘雨「ええ、お名前は存じています」
鍾離「彼女は、世界樹を通して異世界の知識にもアクセスできる。俺よりも頼りになるだろう。甘雨は直接行くのは難しいだろう?俺が行って聞いてみよう」
甘雨「そんな!帝君にお手を煩わせるわけには!」
鍾離「ははは、そんなに畏まる必要はない。璃月七星の秘書のお手伝いが出来るなら、この凡人には身に余る光栄だ」
甘雨「刻晴さんを鞭で脅せばきっと速攻で行ってくれるのに」
鍾離「甘雨、確かに性格変わったな……」
ナヒーダが璃月港へ来ていた。甘雨を診断している。
ナヒーダ「ううん……私の見立てでは、甘雨は『クロスアンジュ』の世界とリンクして影響を受けてるようね」
刻晴「やっぱり……その繫がりを断ったりは出来ないんですか?」
甘雨「私は刻晴さんを愛でられれば何でもいいですよ♪」
刻晴「くっつくなー!あ、別に甘雨がイヤだって言ってるんじゃなくて、痛い事されるのがイヤだってだけで……」
甘雨「痛くなければ良いんですね?じゃあ私の目の前で、ガラス張りのお部屋でお風呂に入ってもらって、私はワインを飲みながらそれを眺めます!」
刻晴「だから何で、そう言う変態的発想が次から次に浮かぶの!?クロスアンジュの世界とこの世界の繋がりは断てないのかしら……」
ナヒーダ「それは無理ね。このテイワットがテイワットである限りは。物理的にスメールと璃月を別世界に切り離すことはできないように」
刻晴「ならば、甘雨だけクロスアンジュの世界から切り離す、とかは?」
ナヒーダ「それはやめた方が良いわ。甘雨と言う存在の根幹に関わることだもの。上手くいけば切り離せるかもしれないけど、失敗したら甘雨は廃人になったり、今以上に悪化して世界に牙を向く恐れもある。どうなるか、全く予想がつかないもの。刻晴、あなたは甘雨が好きなのよね?」
甘雨「私は大好きですよぉ?刻晴さん、いつもいい声で泣いてくれるじゃないですかぁ」
刻晴「そんなの関係ないでしょ!?ナヒーダ、ふざけているの!?」
ナヒーダ「あら、私は真面目よ。刻晴が甘雨の事なんかどうでもいいって言うなら、秘書を辞めさせて、人間の秘書を5名か6名くらい雇えば済む話だもの。璃月七星がその人件費を出せない、ってことはないわよね?」
刻晴「……人事については、口を出されなくても分かっているわ。でも、それが出来ないからお願いしているの」
ナヒーダ「あなたの気持ちを聞かせてほしいの。決して、生半可な覚悟じゃ出来ないから」
刻晴「……私は、甘雨が好きよ。大切な秘書で、仲間だもの。優しくて、おっとりしていて、でも帝君に対する思いは人一倍で……そんな甘雨が一緒にいてくれたから、私はここまでこれた。頑張れた。私が子供の頃から甘雨は近くにいてくれた、大切な存在よ」
ナヒーダ「良く言えました。さて、甘雨を元の性格で固定させるには……『エンブリヲの研究所(真実のアルゼナル)でしか取れない、原初の光と言うエネルギーを使い、甘雨の仙獣の血に作用させること』よ。そうすることで、甘雨の性格を原初の状態(元の温和な性格)に戻して固定できるはず。でも、それはアウラの力を使い続けるマナの力のようなものだから……ずっと続くわけじゃなく永続的なエネルギーではない。仮に原初の光を定期的に補充できるようになっても、1ヶ月毎くらいにアル・ワースを訪れることになるわ。まさか、アウラを掴まえて使う、と言うわけには行かないでしょう?」
刻晴「彼女達の物語は最後まで見たわ。ドラゴンの始祖アウラを取り戻すためにサラマンディーネ達がどれだけの血を流したか、そしてどれほどのノーマ達がドラゴンと戦うことを運命づけられ、エンブリヲの掌の上で死んでいったか……とてもじゃないけど、またアウラを捕まえるなんてことは、言えない。そんなの、私達が他の世界に侵攻するようなものだもの」
ナヒーダ「しかも、真実のアルゼナルは、エンブリヲとの戦いで破壊されている。(第44話『真実の黙示録』)まずはそこの跡地に行くことからね」
刻晴「サリアの心境を考えたら、言いだしづらいわね……」
鍾離「ブエル、遠路はるばる、この璃月へようこそ。歓迎しよう」
ナヒーダ「あら、モラクス。あなたがスメールの教令院に、いきなり何の連絡もなしに現れたときは、本当に心の底から驚いたわ。一体何事かと思ったもの」
刻晴「神々の力に頼るなんて、情けない……」
ナヒーダ「そんなことはないわ。私達を動かしたのは、あなたの甘雨に対する想いだもの」
鍾離「テイワットとアル・ワースを繋げるための絡繰りは、留雲が用意した」
甘雨「お師匠様が?これは私と刻晴さんの愛の逃避行を後押ししてくれたってことですね♪」
刻晴「もう、突っ込む気力も起きないわ……」
ナヒーダ「それから、今回は私も一緒に行くわね」
甘雨「草神様が?」
ナヒーダ「異世界のお話や冒険譚、凄く楽しそうだもの。スメールは笠っちがいてくれれば大丈夫よ」
刻晴「まあ、クレイジーサイコレズな甘雨と二人よりはマシかもね……一応、甘雨はこんな状態でも神への敬意は忘れてないから、草神様が一緒に来てくれるのは正直ありがたいわ」
鍾離「俺は行かなくていいのか?」
ナヒーダ「流石に七神が二柱もテイワットを離れるのはまずいでしょう?それにあなたまで来てしまうと、バルバトスあたりが後から追いかけてきて手が付けられなくなりそうだもの」