原神×クロスアンジュ 第37話(1/4)『甘雨の暴走、帝君の叱責』

魈

魈「甘雨……貴様、ヴィヴィアンに報復を企んでいるらしいな。
我でさえも契約に従い、耐え忍んでいるというのに。
ヴィヴィアン砲から得たものを活かして、七星が国造りの基礎をしているのに、貴様はそれを見守ってくださっている帝君のお気持ちが分からんか?」

甘雨

甘雨「降魔大聖……何故それを……」

魈

魈「帝君が見通せぬものなど、あるわけがなかろう。ついてこい。帝君がお待ちだ」

璃月港から少し離れた山中。

鍾離

鍾離「甘雨……俺は、お前が『契約なんか関係ない』と言ってヴィヴィアンへの報復を考えているなど、信じたくはなかった。だが、これを見てしまっては、そうは行くまい」

鍾離の手には、ヴィヴィアンへの報復方法として、ヴィヴィアンの目の前でサリアやアンジュなどのヴィヴィアンの仲間への拷問などを考えた甘雨のノートが握られていた。

魈

魈「貴様は……『契約なんか関係ない』だと!?
契約の神である岩王帝君の前で、その台詞、もう一度言えるか!?
あの『ヴィヴィアン砲・本気モード』で出て来た、汚職派の七星と同じ言い分ではないか!」

鍾離

鍾離「魈、ちょっと静かにしてくれ。
甘雨。俺は、むしろ魈の方が暴走すると思っていたが、まさか甘雨が暴走するとはな……
この契約は、元々俺達が持ち掛けたものだ。ヴィヴィアンはそれを受託したに過ぎない。
逆の立場で考えてみろ。
もし、甘雨がアル・ワース、いやテイワットの存在でも良い。
誰かから依頼を受けて『私を倒すためのシミュレーションを作ってくれ』と言われてシミュレーションを作ったとする。
だが、その相手を大切に思っている誰かが、報復してきたら、どうする?」

甘雨

甘雨「そんな!私は頼まれて作っただけなのに、逆恨みじゃないですか!」

鍾離

鍾離「ヴィヴィアンも、そう感じるだろう。
恐らく、仮想データを実現することさえ考えるだろう。
あの娘は、仲間を傷つけるものに、一切の情け容赦はないからな」

ナヒーダ

ナヒーダ「そうね。
私と同じ声の『古手梨花』の故郷、雛見沢では『オヤシロさま』という神様を祭っていて、古手梨花はその御三家の一つだけど。
例えば、オヤシロさま信仰は、『村によそ者を入れるな、村から外に出るな』が目的だけど。(土着の風土病を広めない、発病でさせないため)
もし梨花とあなたが交流があったとして、『甘雨、あなたは璃月から出てはいけない。そして璃月に入ってくるよそ者も拒否しなさい』なんて言ったら、あなたはどう思う?」

甘雨

甘雨「異世界の神の教えなんか、私には関係ありません」

鍾離

鍾離「ヴィヴィアン達も同じだ。
元々、彼女達は他国どころか異世界の人間だ。
テイワットの神々に対する敬意なんか、持っていなくて当たり前なのだ」

甘雨

甘雨「……!!」

鍾離

鍾離「……さて、もし甘雨がこのノートを実行したら、どうなると思う?」

甘雨

甘雨「……テイワットとアル・ワースで全面戦争になります」

鍾離

鍾離「いや、おそらく全面戦争までは行きつく可能性は低いだろう。
局地戦は避けられないが。
報復合戦を抑止するための、契約内容の4条だ。

(4条:本データは、テイワット防衛を最終目標とするため、ヴィヴィアンはこの内容を現実に行うことは固くこれを禁ずる。
また、これを作った事を以てヴィヴィアンや新生エクスクロスの責任を追及する事を禁ずる。
報復行為は、固くこれを禁ずる。
もしこの契約を破ることがあった場合、新生エクスクロス、並びにテイワットの七神全てを敵に回すことと心せよ)

もし甘雨がそれを実行したら、アル・ワースのパラメイル第一中隊と魔従教団だけでなく、俺達七神も、璃月の仙人も、璃月七星も、全て敵に回すことになる。
俺達は、全面戦争を止めるために、お前の首を持ってアル・ワースに詫びることになる。分かっているな?」

甘雨

甘雨「……はい」

鍾離

鍾離「そうなったら、一番悲しむのは誰だ?
玉衡……刻晴じゃないのか?
お前を討たないといけなくなった時の、彼女の気持ちを鑑みたことはあるか?」

甘雨

甘雨「刻晴さんが、私を討つ……そこまで、考えていませんでした」

鍾離

鍾離「甘雨、俺はネバンエンデを倒した時のことで、お前と刻晴の仲を祝福したつもりだ。
だが、お前が契約を踏みにじり、テイワットとアル・ワースに戦乱を起こすなら、お前を止めねばならない。
そのために結んだ契約なのだ。
甘雨よ……俺もお前も、人間とは寿命が異なる。
刻晴が寿命尽きるその時まで、共にいたかったのではないか?
刻晴がその人生を賭けて、作り上げた1000年先の璃月を、その目に焼き付ける……そうした時、1000年先の甘雨は、刻晴がいなくなった後も、彼女の存在は心の中に生き続けるだろう。その望みすら、捨て去るつもりか?」

甘雨

甘雨「私が……間違ってました。すみません、帝君……」

鍾離

鍾離「謝るなら俺にではなく、ヴィヴィアンと刻晴だろうな。
後は巻き込みそうだったサリアとアンジュか。
まあ、無駄に煽る真似はしたくない。
アル・ワース組には伝えずにおくつもりだが、どこかから漏れて問い詰められた時は、正直に非を認めて謝るのだな」

ナヒーダ

ナヒーダ「甘雨がそこまで追い詰められていたなんてね……
あの子は私の最大の弱点を教えてくれると共に、守り方を教えてくれたの。
あなたは、意図的にそこから目をそらしてたみたいだけどね。
そして、ホットラインで連絡すれば、すぐにでも私を守ってくれるって約束してくれた。
ちょっと目の前で連絡して見ましょうか?」

ナヒーダがスマートフォンを取り出して操作する。

ヴィヴィアン

ヴィヴィアン「おおう!ナヒーダ様、どした?」

ナヒーダ

ナヒーダ「ううん、大した用じゃないの。今度またアル・ワースに行く予定があるから、その時はよろしくね」

ヴィヴィアン

ヴィヴィアン「おっけー!その時はメールで日時教えてくれると助かる!」

ナヒーダ

ナヒーダ「ええ、またね」

通話を切るナヒーダ。

ナヒーダ

ナヒーダ「これでも、甘雨はヴィヴィアンを信用できないかしら?
どうしても信用できないなら、友達にアレを使うのは気が進まないけど……私の元素スキルでヴィヴィアンの思考を覗いてあげるわ」

甘雨

甘雨「いえ……そこまでしなくても、大丈夫です……」

ナヒーダ

ナヒーダ「私だったら、ヴィヴィアンの嫌いな食べ物でも探して食べさせるくらいの、ささやかな仕返しくらいは許容するわね。モラクスにばれないように、やったら?」

鍾離

鍾離「ブエル……それは正面から4条に反するではないか」

ナヒーダ

ナヒーダ「ふふっ、ごめんなさい」

鍾離

鍾離「甘雨も刻晴には心配かけたくなかっただろうから、彼女にはまだ伝えていないが、機を見て伝えておく」

ナヒーダ

ナヒーダ「甘雨。あなたは誰よりも知っているでしょう。何よりも契約を重んじるモラクスは、例え身内であっても、契約を破るものには一切の容赦がない。あなたが実行する前に見つけられて、良かったわ」